【給与計算実務能力検定試験1級】計算問題 資格取得時決定

目次

過去問対策(資格取得時決定)

給与計算実務能力検定試験には過去問集が市販されていませんので、問題対策がしづらいですよね。ここでは計算問題の「資格取得時決定」の解き方を解説していきます。

資料は試験当日に配布される

以下の一定の資料が問題用紙と共に配布されます。
・健康保険・厚生年金保険の保険料額表
・給与所得の源泉徴収額表(月額表)
・賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表
・雇用保険料率表
・退職所得控除額の計算の表
・生命保険料の控除額の計算式
・地震保険料の控除額の計算式
・配偶者控除等の種類と控除額
・年末調整等のための速算表等・・・・

資料をもとに、問題を解いていきます。

差引支給額を求めよ

以下の条件で令和5年9月1日に入社した社員の資格取得時決定される標準報酬月額を求め10月25日に支給される給与の差引支給額を求めよ

  • 1年間の所定労働日数:252日(法定休日は日曜
  • 1日の所定労働時間数:8時間(8:30~17:30)
  • 1週間の起算日:日曜日
  • 賃金締め日:毎月月末
  • 賃金支払日:翌月25日
  • 年齢:35歳
  • 社会保険:協会けんぽ(東京都)
  • 資格取得時の報酬月額には割増賃金の見込額を含めない
  • 雇用保険:一般の事業
  • 割増率は法定の最低基準
  • 税区分:甲欄
  • 控除対象扶養親族の数:2人
  • 支給内容
     基本給:260,000円
     役職手当:8,000円
     住宅手当:12,000円(負担割合で支給)
     通勤手当:31,200円(10月25日に支給、6か月分・公共交通機関)
  • 勤怠状況:出勤簿参照



資格取得時決定の社会保険料

資格取得時決定は対象の報酬月額となる1か月分の支給額を決定します。労働契約上の1か月分の総額としますが入社から5日以内に届け出が必要な為、残業代は参入しません。なお固定残業代は労働契約で確定していますので参入します。

通勤手当は6か月分が支給されてますので1か月を求めます。
31,200円÷6=5,200円
基本給+役職手当+住宅手当+通勤手当
260,000円+8,000円+12,000円+5,200円=285,200円

割増賃金以外の支給額が算出できましたので「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を使い社会保険料を求めます。

保険料額表に当てはめると285,200円は270,000~290,000の範囲に入りますから標準報酬月額は健康保険標準報酬月額:280,000円、厚生年金標準報酬月額:280,000円
となります。そして社会保険料ですが年齢が40歳未満なので介護保険料は徴収しません。労使折半なので保険料額表より導きだして健康保険料:14,000円厚生年金保険料:25,620円

割増賃金単価を求める

時間単価が分からないと割増賃金の計算ができませんので、1年の所定労働日数と1日の所定労働時間から1か月の平均労働時間を求めます。252日×8時間÷12か月=168時間

割増賃金の計算から除外する賃金があります。

割増賃金から除外する賃金
  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別所手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
    ※ただし一律に支払われる住宅手当は除外出来ません。
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金


この事例で割増賃金の計算から除くのは通勤手当住宅手当なので260,000円(基本給)+8,000円(役職手当)=268,000円 1か月の平均労働時間は168時間なので1時間あたりの賃金は、268,000円÷168時間=1,595.2380‥ 50銭未満切り捨てして、時間単価は1,595円となります。
勤怠をうめていきましょう。


時間外労働手当

1か月における時間外・深夜・休日労働のそれぞれの時間数の合計の端数は30分未満切り捨て、30分以上1時間未満は切上げします。給与計算の前提条件ですね。前提条件に付いては過去記事で。


5時間45分→6時間 
1,595円×1.25×6時間=11,962.5
11,963円 ※50銭以上1円未満は切上げ

深夜労働手当

30分→1時間 ※30分以上1時間未満は切上げ
1,595円×0.25×1時間=398.75
399円 ※50銭以上1円未満は切上げ

代休割増手当

9月3日(日)に出勤した分は9月6日(水)に代休を取得していますので所定労働時間分だけ法定休日割増(0.35)の計算をします。
1,595円×0.35×8時間=4,466円

法定休日労働手当

所定労働時間を超えた2時間30分は通常の法定休日労働(1.35)で計算
2時間30分→3時間 ※30分以上1時間未満は切上げ
1,595円×1.35×3時間=6,459.75
6,460円 ※50銭以上1円未満は切上げ

当然ですが、すべての割増賃金に「割増賃金単価」の1,595円が使われています。つまり前提の単価計算が間違っていると、全て間違えてしまうので注意です。

通勤手当

6か月分で31,200円支給されていますので、1か月あたりは5,200円公共交通機関で通勤している為、全額非課税となる。※公共交通機関での非課税は月15万まで
非課税通勤手当:31,200円

支給項目と控除項目を埋めていきます

支給項目と控除項目

【課税支給額】260,000円(基本給)+8,000円(役職手当)+12,000円(住宅手当)+23,288円(割増賃金合計)=303,288円
【非課税支給額】31,200円
【総支給額】303,288円+31,200円=334,488円


雇用保険料を求める

重要ポイント

雇用保険料は、非課税通勤手当・割増賃金含めた総支給額で計算!

 

一般の事業なので雇用保険料率は1000分の6(被保険者負担分)
334,488円(総支給額)×0.006=2006.928→2,007円 ※50銭以上1円未満は切上げ

これで、社会保険料が出そろいました。

【社会保険料合計】
14,000円+25,620円+2,007円=41,627円

所得税を求める

重要ポイント

課税対象額に社会保険料は含めない!

 

課税対象額は課税支給額-社会保険料です。←これ大事!もちろん非課税の通勤費も含めません。
303,288円-41,627円=261,661円
給与所得の源泉徴収税額表(月額表)に261,661円を当てはめます。甲欄の扶養は2人

交わる所は3,730となり所得税額は3,730円となります。【控除合計】41,627円(社会保険合計額)+3,730円(所得税額)=45,357円
【差引支給額】総支給額-控除合計額 334,488円-45,357円=289,131円

差引支給額は、289,131円となりました。

1円でも違うと間違いになりますので、正確に💦 お疲れまでした。


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