【国民年金法】基礎年金拠出金

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基礎年金拠出金とは?

基礎年金の財源は、「保険料」と「国庫負担」そして「基礎年金拠出金」でまかなっています。基礎年金等を給付するために、厚生年金保険制度などの各公的年金制度が集めた保険料の中から分担して負担している資金のことです。

厚生年金保険の被保険者は、同時に国民年金にも加入(第2号被保険者)しており将来、老齢厚生年金と老齢基礎年金をダブルで受給しますが、国民年金の保険料を納付していません。ではどこに財源があるのでしょうか?集めた厚生年金保険の保険料の一部を政府等が基礎年金拠出金として国民年金に拠出しています。

条文を見てみよう

第94条の2(基礎年金拠出金)

厚生年金保険の実施者たる政府は、毎年度、基礎年金の給付に要する費用に充てるため、基礎年金拠出金負担する。

 実施機関たる共済組合等は、毎年度、基礎年金の給付に要する費用に充てるため、基礎年金拠出金納付する。

 財政の現況及び見通しが作成されるときは、厚生労働大臣は、厚生年金保険の実施者たる政府が負担し、又は実施機関たる共済組合等が納付すべき基礎年金拠出金について、その将来にわたる予想額算定するものとする。

 

実施者たる政府実施機関たる共済組合等とは?


用語の定義から押さえていきます。

この法律において、政府及び実施機関とは、厚生年金保険の実施者たる政府及び実施機関たる共済組合等をいう。この法律において、実施機関たる共済組合等とは、厚生年金保険の実施機関たる国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団をいう。

厚生年金の被保険者は「被用者」です。つまり誰かに雇われて賃金を受け取っている人ですね。4種類に分かれています。

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第1号厚生年金被保険者下記、第2・3・4号以外の被保険者(一般の会社員)
第2号厚生年金被保険者国家公務員共済組合の組合員(国家公務員)
第3号厚生年金被保険者地方公務員共済組合の組合員(地方公務員)
第4号厚生年金被保険者私立学校教職員共済制度の加入者(私学の職員)
厚生年金保険の種別

 

実施機関

それぞれの実施機関は次の通りです。

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厚生年金保険の被保険者実施機関
第1号厚生年金被保険者厚生労働大臣
第2号厚生年金被保険者国家公務員共済組合
国家公務員共済組合連合会
第3号厚生年金被保険者地方公務員共済組合
全国市町村職員共済組合連合会
地方公務員共済組合連合会
第4号厚生年金被保険者日本私立学校振興・共済事業団
各実施機関

 

実施機関は、保険給付や保険料その他徴収金、運用に関する事務等を行っており第2号・第3号・第4号厚生年金被保険者の実施機関を共済組合等とまとめて定義しています。

実施機関たる共済組合等は、基礎年金拠出金の拠出や積立金管理等を行っていて実施機関より狭い定義になります。

 

実施機関たる共済組合等

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実施機関実施者たる政府実施機関たる共済組合
厚生労働大臣厚生労働大臣
国家公務員共済組合
国家公務員共済組合連合会
国家公務員共済組合連合会
地方公務員共済組合
全国市町村職員共済組合連合会
地方公務員共済組合連合会
地方公務員共済組合連合会
日本私立学校振興・共済事業団日本私立学校振興・共済事業団
実施機関たる政府と実施機関たる共済組合等

 

話を基礎年金拠出金に戻すと

実施者たる政府が基礎年金拠出金を負担する
実施機関たる共済組合等が基礎年金拠出金を納付する

となっています。図でイメージ化すると、こんな感じ

このように、国民年金の第2号被保険者と第3号被保険者の基礎年金の給付に要する費用に充てる為、毎年度、実施者たる政府実施機関たる共済組合等は、国民年金の基礎年金勘定に基礎年金拠出金を拠出しています。

国民年金を管掌しているのは政府なので、実施者たる政府負担実施機関たる共済組合等は政府に納付ですね。

実施者たる政府負担実施機関たる共済組合等は政府に納付

 

基礎年金拠出金の額

基礎年金拠出金の額は、国民年金の被保険者の総数に対する第2号被保険者と第3号被保険者の総数の比率を使い算出します。

第3号被保険者の分も含めて拠出しており、基礎年金に必要な額を第2号被保険者と第3号被保険者の人数で按分負担させていると理解すれば良いです。

基礎年金の給付費は、正確には保険料免除期間に係る老齢基礎年金の額と、20歳前傷病による障害基礎年金の額のうち特別国庫負担金の対象となる額は除かれており、「保険料・拠出金算定対象額」と言います。


被保険者の総数並びに政府及び実施機関に係る被保険者の総数は、第1号被保険者、第2号被保険者及び第3号被保険者の適用の態様の均衡を考慮して、これらの被保険者のうち政令で定める者を基礎として計算するものとする。とされていて、政令で定める者が重要です。

政令で定める者 

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第1号被保険者保険料納付済期間、保険料4分の1免除期間、
保険料半額免除期間、保険料4分の3免除期間を有する者
第2号被保険者20歳以上60歳未満の者
第3号被保険者すべての者
政令で定める者

第1号被保険者の総数には、保険料納付者
第2号被保険者数には、基礎年金の部分なので20歳以上60歳未満の者
第3号被保険者数には、すべての者
が入ります。第1号被保険者の総数には、保険料を納付していない「全額免除者」は入りません。第2号被保険者は年齢の縛りがありませんでしたが、基礎年金の額の計算上は、20歳以上60歳未満(480月)しか算入されません。第3号被保険者は、もともと20歳以上60歳未満の者しか被保険者になれませんので、すべての者となります。

産前産後保険料免除している人は、保険料の全額が免除されていますが、保険料納付済期間に算入されますので、国民年金の総被保険者数(分母)に産前産後保険料免除期間の総月数が入ります。

それでは過去問いきましょう

問1. 基礎年金拠出金の額の算定基礎となる被保険者は、第1号被保険者にあっては保険料納付済期間、保険料4分の1免除期間、保険料半額免除期間又は保険料4分の3免除期間を有する者であり、第2号被保険者及び第3号被保険者にあってはすべての者である。

過去問 令和元年 国民年金法

←正解はこちら
問1. ✕ 基礎年金拠出金の額の算定基礎となる被保険者は、第3号被保険者にあってはすべての者だが、第2号被保険者は20歳以上60歳未満です。

問2. 基礎年金拠出金の額の算定基礎となる第1号被保険者数は、保険料納付済期間、保険料全額免除期間、保険料4分の3免除期間、保険料半額免除期間及び保険料4分の1免除期間を有する者の総数とされている。

過去問 令和4年 国民年金法

←正解はこちら
問2. ✕ 基礎年金拠出金の額の算定基礎となる第1号被保険者数には、「保険料全額免除期間」は算入しません。保険料納付済期間、保険料4分の1免除期間、保険料半額免除期間又は保険料4分の3免除期間を有する者です。

問3. 実施機関たる共済組合等は、毎年度当該年度における保険料・拠出金算定対象額の見込額に当該年度における当該実施機関たる共済組合等に係る拠出金按分率の見込値を乗じて得た額の基礎年金拠出金を、厚生労働省令の定めるところにより、日本年金機構に納付しなければならない。

過去問 平成28年 国民年金法

←正解はこちら
問3. ✕ 実施機関たる共済組合等が基礎年金拠出金を納付するのは、日本年金機構ではなく「政府」です。
各実施機関たる共済組合等は、毎年度、当該年度における保険料・拠出金算定対象額の見込額に当該年度における当該実施機関たる共済組合等に係る拠出金按分率の見込値を乗じて得た額の基礎年金拠出金を、厚生労働省令の定めるところにより、国民年金の管掌者たる政府に納付しなければならない。

実施者たる政府が基礎年金拠出金を負担する
実施機関たる共済組合等が基礎年金拠出金を納付する


厚生労働大臣は、実施者たる政府が負担し、又は実施機関たる共済組合等が納付すべき基礎年金拠出金について、その将来にわたる予想額を算定します。保険料・拠出金算定対象額には、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者で算定にあたり算入する被保険者の総数に違いがあります。厚生年金保険から国民年金への「お金の流れ」を把握すると、理解が進むと思います。

 

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 正直ここの分野は難しいところですがここで合否が割れると言っても過言ではないかもね。基礎年金拠出金、実施者たる政府、実施機関たる共済組合等、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)とかの用語をしっかり押さえて流れをつかむのが大事ですね。
    他にはマクロ経済スライドとかの年金額の改定とかもね。
    ありがとうございます。

    • 大体のお金の流れを掴むことが大切ですね。積立金の運用やGPIF、マクロ経済スライド等は用語もしっかり押さえないと選択式でやられますし・・・

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