【厚生年金保険法】老齢厚生年金 支給の繰下げ

老齢厚生年金 繰下げ

老齢厚生年金の繰下げ制度は、老齢厚生年金を受給開始年齢である65歳以降に受け取る時期を遅らせることで、年金額を増額できる仕組みです。受給開始を自ら遅らせる選択ができ、最長で原則75歳(受給権を取得した日から起算して10年を経過した日)まで行うことが可能です。

目次

老齢厚生年金の支給繰下げの申出

本来の老齢厚生年金の受給開始年齢は65歳ですが、この受給開始年齢を66歳から75歳までの間で繰り下げることができます。また繰り下げた期間に応じて、年金額が増額されます。受給権は発生しているので「申出」となります。繰上げは、受給権を発生させるために「請求」でしたね。

 

条文を見てみよう

第44条の3(支給の繰下げ)

老齢厚生年金の受給権を有する者であつてその受給権を取得した日から起算して1年を経過した日(以下この条において「1年を経過した日」という。)前に当該老齢厚生年金を請求していなかつたものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く。)をいう。以下この条において同じ。)の受給権者であつたとき、又は当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となつたときは、この限りでない。

 

国民年金法の繰下げの条文も比較してみてみましょう。法附則で読替え条文になっています。

第28条1項(支給の繰下げ)

老齢基礎年金の受給権を有する者であつて66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかつたものは、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げ申出をすることができる。ただし、その者が65歳に達したときに、他の年金たる給付(他の年金給付(付加年金を除く。)又は厚生年金保険法による年金たる保険給付(老齢を支給事由とするものを除く。)以下同じ。)をいう。の受給権者であつたとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となつたときは、この限りでない。

法附則18条5項

老齢基礎年金の受給権を有する者であってその受給権を取得した日から起算して1年を経過した日(以下「1 年を経過した日」という)前に当該老齢基礎年金を請求していなかったものは、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
ただし、その者が当該老齢基礎年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付の受給権者であったとき、又は当該老齢基礎年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでない。

65歳に達した日後に老齢基礎年金の受給権を取得した場合でも、老齢基礎年金の支給繰下げの申出が出来るように、66歳では無く「受給権を取得した日から起算して1年を経過した日」となっています。

繰下げの申出は、老齢厚生年金の受給権を有する者で受給権を取得した日から起算して1年を経過しないと出来ません。そして以下の者は繰下げの申出が出来ません。

  • 老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付の受給権者であった
  • 受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者になった

 

他の年金たる給付とは?

他の年金たる給付とは厚生年金保険の「障害厚生年金遺族厚生年金」、国民年金の「遺族基礎年金」のことです。他の年金を受給しながら、老齢厚生年金は受け取らず繰下げして、後で増額された老齢厚生年金を受給できるとなれば不公平なのは明らかですよね。国民年金の老齢基礎年金の繰下げを理解してから厚生年金保険と比較して学習すると効果的です。

 

他の年金たる給付から除外されている年金

他の年金たる給付から除外されている年金は、言い換えると受給権を持っていても繰下げの申出が出来るということです。条文をみると「老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く」とあります。

「老齢を支給事由」とする老齢基礎年金付加年金以外に、障害基礎年金が含まれています。

 

スクロールできます
繰下げ他の年金たる給付除く
国民年金
老齢基礎年金
障害基礎年金
障害厚生年金
遺族基礎年金
遺族厚生年金
付加年金
老齢厚生年金
厚生年金保険
老齢厚生年金
障害厚生年金
遺族基礎年金
遺族厚生年金
老齢基礎年金
付加年金
障害基礎年金

 

老齢基礎年金の繰下げでは、「国民年金法又は厚生年金保険法の障害又は遺族に係る年金給付の受給権」があると繰下げの申出は出来ませんでしたが、老齢厚生年金の繰下げでは、障害基礎年金の受給権を持っていても繰下げ可能です。

 

障害基礎年金の受給権者は老齢厚生年金の支給繰下げが可能

老齢厚生年金の繰下げでは、障害基礎年金の受給権を持っていても繰下げ可能なのは、併給と大きな関係があります。年金は、65歳以上に限って併給出来る組み合わせがあります。

 

※老齢基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と障害厚生年金、遺族基礎年金と遺族厚生年金は65歳未満でも併給可能

 

老齢厚生年金と障害基礎年金は併給可能です。併給が可能と言うことは障害基礎年金の受給権を持ったまま老齢厚生年金の支給を遅らせても不公平では無いですよね?

なので老齢厚生年金の繰下げは、障害基礎年金の受給権を有していても認められています。

「老齢基礎年金」と「遺族厚生年金」も併給可能ですが、遺族厚生年金の受給権を有していると老齢基礎年金の繰下げ申出はできません障害基礎年金だけが特別なんです。

 

なぜ障害基礎年金だけ特別なのか?

もともと老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに障害又は遺族に係る年金給付の受給権を有していたら繰下げの申出ができませんでした。

障害基礎年金だけ特別なのは、老齢厚生年金と障害基礎年金の併給を可能とした趣旨に由来します。平成18年3月31日以前は、障害基礎年金の受給権者は、老齢厚生年金を併給できませんでした。

平成18年4月の改正前は、障害基礎年金の受給権者は、老齢厚生年金とは併給されない為、障害を有しながら長期間就労して自ら保険料を納付したことが年金給付に反映されにくい仕組みになっていました。

障害を有していてもできる限り能力を発揮し、就労できる環境整備に向けた取組みが進められるなか、年金制度としても、障害者の就労について年金制度上も評価し、地域での自立した生活を可能とするための経済的基盤を強化する観点から、障害基礎年金と老齢厚生年金の併給が認められることになったんです。

老齢厚生年金と障害基礎年金の併給を可能にした背景が、障害基礎年金の受給権者であっても老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる特別な例外なんですね。

 平成19年4月から障害基礎年金の受給権者であっても老齢厚生年金の支給繰下げの申出が可能になり、また必ずしも老齢基礎年金の支給繰下げと同時に行うことを要しないとされました。

 

ポイント
  • 老齢基礎年金と老齢厚生年金はどちらか一方のみを繰上げ受給することはできないため、同時に支給繰上げの請求をする必要がある
  • 老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給繰下げは、同時に行うことを要しないので別々に申出できる
  • 老齢厚生年金の支給繰下げの申出は、障害基礎年金の受給権を有していても可能

 

支給繰下げの申出があったとみなされる

 

第44条の3 2項(支給の繰下げ)

2 1年を経過した日後に次の各号に掲げる者が前項の申出をしたときは、当該各号に定める日において、前項の申出があつたものとみなす


一 老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して10年を経過した日(次号において「10年を経過した日」という。)に他の年金たる給付の受給権者となつた者
  他の年金たる給付を支給すべき事由が生じた日


二 10年を経過した日後にある者(前号に該当する者を除く。)
  10年を経過した日

さて、基本権(受給権)は、支給要件を満たした時点で当然に発生しますが、裁定請求することにより基本権としての受給権が具体化し年金給付の支給を受ける権利(支分権)も発生します。

裁定請求しなければ「繰下げ待機」となり、実際の年金の裁定請求時に繰下げ申出すれば増額された年金の支給が開始され、繰下げ申出をしなければ、増額されない本来支給の年金が遡って支給されます。

この条文は、老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して10年を経過した日に繰下げの申出をしたら「10年を経過した日」に支給繰下げの申出があったとみなされる規定です。

 

※65歳到達時に受給権を得た場合

 

また10年を経過した日前に他の年金たる給付の受給権者となった場合は、他の年金たる給付を支給すべき事由が生じた日に支給繰下げの申出があったとみなされます。

 

政令で定める額を加算した額とは?

 

第44条の3(支給の繰下げ)

3 第1項の申出をした者に対する老齢厚生年金の支給は、当該申出のあつた月の翌月から始めるものとする。


4 第1項の申出をした者に支給する老齢厚生年金の額は、第43条第1項(報酬比例部分の額)及び第44条(加給年金額)の規定にかかわらず、これらの規定により計算した額に、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの被保険者期間を基礎として第43条第1項の規定の例により計算した額及び第46条第1項(在職老齢年金)の規定の例により計算したその支給を停止するものとされた額を勘案して政令で定める額を加算した額とする。

 

政令で定める額を加算した額とは、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの被保険者期間を基礎としてとして計算した老齢厚生年金の額と在職老齢年金の仕組みによりその支給を停止するものとされた額を勘案して、政令で定める額のことです。

 在職老齢年金の仕組みにより支給停止される額は、繰下げ加算額の対象にならないという意味で、「在職老齢年金の仕組みで停止されるから繰下げして年金額を増やそう」と言う考えは通用しません。

繰下げ加算額は「受給権取得月前被保険者期間」を基礎として計算します。繰下げ待機中に厚生年金保険の被保険者であっても受給権を取得した日の属する月の前月のまでの被保険者期間を基礎として計算した「老齢厚生年金の額に平均支給率を乗じて得た額」に増額率を乗じて得た額となります。

平均支給率というのが在職老齢年金の仕組みに関係しています。在職老齢年金の仕組みで全額停止されると支給率は0%となり繰下げしても年金額が増えることはありません。

受給権取得月の翌月から繰下げ申出をした月までの「もし繰下げをしなかったとしたら老齢厚生年金は、どれくらい支給されていたか(支給率)」を平均しますので平均支給率といいます。

 

増額率は0.7%

 

厚生年金保険法施行令

第3条の5の2

老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月(以下この項において「受給権取得月」という。)の前月までの被保険者期間(以下この条において「受給権取得月前被保険者期間」という。)を基礎として報酬比例部分の額に平均支給率を乗じて得た額(経過的加算の規定が適用される場合にあつては、当該乗じて得た額に受給権取得月前被保険者期間を基礎として計算した加算額を加算した額)に増額率(1000分の7受給権取得月から支給繰下げの申出特例的な繰下げみなし増額制度の規定により支給繰下げの申出があつたものとみなされた場合における当該申出を含む。)をした日の属する月の前月までの月数(当該月数が120を超えるときは、120)を乗じて得た率をいう。)を乗じて得た額とする。

 

増額率」とは、1,000分の7受給権を取得した日の属するから支給繰下げを申出した日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率をいいます。(10年が限度ですので120月がMAX)

例えば75歳に達した日の属する月に繰下げの申出をし、65歳到達時に受給権を得たとすると、75歳到達日の前月までの月数は120月となりますので増額率は、120×0.007=0.84となり84%増額されます。

なお繰下げ待機が、原則75歳まで可能になったのは令和4年4月1日の法改正です。改正前は70歳まででした。この「繰下げ月数の上限120月」が適用されるのは、令和4年4月1日の前日において70歳に達していない人になります。つまり昭和27年4月2日以降生まれの人に限定されます。

なお「経過的加算」も増額の対象となります。

 

 

特例的な繰下げみなし増額制度

 

第44条の3(支給の繰下げ)

5 第1項の規定により老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる者が、その受給権を取得した日から起算して5年を経過した日後に当該老齢厚生年金を請求し、かつ、当該請求の際に繰下げの申出をしないときは、当該請求をした日の5年前の日に繰下げの申出があつたものとみなす。ただし、その者が次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。


一 当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して15年を経過した日以後にあるとき。
二 当該請求をした日の5年前の日以前に他の年金たる給付の受給権者であつたとき。

たとえば65歳到達時に老齢厚生年金の受給権が発生した人が、68歳になり繰下げ申出をせず、本来の老齢厚生年金を選択することも可能です。この場合は過去3年分の年金を遡っていったん一括支給され、増額されない年金の支給が開始されます。

年金の支分権の時効は5年です。法改正前の繰下げ可能月数60月(70歳)と時は問題なかったのですが、令和4年4月1日施行から120月(75歳)に引き上げられたことにより、70歳到達後に繰下げ申出をせずに遡って年金を受け取ることを選択した場合に5年の時効で一部消滅する問題が発生しました。

そこで令和5年4月1日より「特例的な繰下げみなし増額制度」が施行されました。

 

 

この改正で、70歳到達後に繰下げ申出をせずに遡って年金を受け取ることを選択した場合、5年前の日繰下げ申出したとみなされて、増額された年金の5年分を一括して受け取ることができるようになり、その後も増額された老齢厚生年金が支給されます。

ただし書きにあるように、受給権を取得した日から起算して15年を経過した日以後(80歳に達した日以後)や、請求をした日の5年前の日以前に他の年金たる給付の受給権者であったときは、このみなし規定は適用されません。

 

その他の論点

加給年金

老齢厚生年金を繰下げる場合、繰下げ待機中は「加給年金」は支給されず、繰下げによる増額の対象となりません。

引用:日本年金機構

 

特別支給の老齢厚生年金

原則65歳から支給される「本来支給の老齢厚生年金」に対して、60歳から65歳までの間に支給される有期年金のことを「特別支給の老齢厚生年金」と言います。旧厚生年金保険法では原則60歳から老齢年金が支給されていました。昭和60年の改正で65歳から支給することになり経過措置で段階的に引き上げられています。60歳台前半の老齢厚生年金と言ったりもします。

 

引用:日本年金機構

 

法附則12条で「支給繰下げの規定は、特別支給の老齢厚生年金については、適用しない。」と書かれています。繰下げることは出来ないので、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に達したときは、速やかに裁定請求しないとですね。支分権の時効は5年ですので・・・

なお「特別支給の老齢厚生年金」と「本来支給の老齢厚生年金」は別物です。特別支給の老齢厚生年金の受給権は65歳に達すると消滅しますので、本来支給の老齢厚生年金は要件を満たす限り支給繰下げの申出が可能です。

 

それでは過去問いきましょう

問1 次の記述のうち、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができないものはいくつあるか。なお、いずれも、老齢厚生年金の支給繰下げの申出に係るその他の条件を満たしているものとする。

ア 老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害厚生年金の受給権者であった者。
イ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族厚生年金の受給権者であった者。
ウ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに老齢基礎年金の受給権者であった者。
エ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害基礎年金の受給権者であった者。
オ 老齢厚生年金の受給権を取得したときに遺族基礎年金の受給権者であった者。

A 一つ B 二つ C 三つ D 四つ E 五つ

過去問 令和6年 厚生年金保険法

C 三つ 老齢厚生年金の支給繰下げは「老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付の受給権者であった」場合は出来ません。他の年金たる給付とは、厚生年金保険の「障害厚生年金遺族厚生年金」、国民年金の「遺族基礎年金」でした。例外として「老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金」の受給権者であっても繰下げ可能でしたね。
よってアとイとオが支給繰下げの申出が出来ない肢です。

問2 65歳到達時に老齢厚生年金の受給権が発生していた者が、72歳のときに老齢厚生年金の裁定請求をし、かつ、請求時に繰下げの申出をしない場合には、72歳から遡って5年分の年金給付が一括支給されることになるが、支給される年金には繰下げ加算額は加算されない。
過去問 令和5年 厚生年金保険法

✕ 特例的な繰下げみなし増額制度ですね。70歳到達後に繰下げ申出をせずに遡って年金を受け取ることを選択した場合、5年前の日繰下げ申出したとみなされます。よって遡って5年分の一括支給される年金には繰下げ加算額は加算されます。

問3 老齢厚生年金の支給繰下げの申出をした者に支給する繰下げ加算額は、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月までの被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額と在職老齢年金の仕組みによりその支給を停止するものとされた額を勘案して、政令で定める額とする。
過去問 令和5年 厚生年金保険法

✕ 細かい所まで問うてくるのが社労士試験ですね。「繰下げ加算額は、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月前月までの被保険者期間を基礎とします」
在職老齢年金の仕組みによりその支給を停止するものとされた額を勘案して、政令で定める額とするのは正しい表現です。平均支給率でしたね。

問4 報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する者であって、受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していなかった場合は、当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。
過去問 令和5年 厚生年金保険法

✕ 法附則12条「支給繰下げの規定は、特別支給の老齢厚生年金については、適用しない。」なお特別支給の老齢厚生年金は65歳に達すると消滅しますので、本来支給の老齢厚生年金は要件を満たす限り支給繰下げの申出が可能です。

問5 老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った場合でも、経過的加算として老齢厚生年金に加算された部分は、当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出に応じた増額の対象とはならない。
過去問 令和4年 厚生年金保険法

✕ 【令3条の5の2】老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの被保険者期間を基礎として報酬比例部分の額に平均支給率を乗じて得た額(経過的加算の規定が適用される場合にあつては、当該乗じて得た額に受給権取得月前被保険者期間を基礎として計算した加算額を加算した額)に増額率(1000分の7受給権取得月から支給繰下げの申出をした日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率をいう。)を乗じて得た額とする。

経過的加算として老齢厚生年金に加算された部分も増額の対象となります。

 

令和4年4月以降、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができる年齢の上限が70歳から75歳に引き上げられ増額率も最大84%となりました。そして特例的な繰下げみなし増額制度など細かいところまで問われています。老齢基礎年金の支給繰下げと同時に行うことを要しないのも支給繰上げとは異なります。相違点を要件を丁寧に抑えましょう。

 

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