【国民年金法】積立金の運用

積立金とは?

国民年金の年金給付に必要な費用は、現役被保険者等が納める保険料等で賄う世代間扶養の賦課方式をベースにしていますが、積立金も運用しています。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に積立金を寄託して運用してもらっているんですね。厚生年金保険法にも同じように積立金の運用規定があります。2023年度第1四半期だけでも+18兆9,834億円。運用資産額は219兆1,736億円となっています。※GPIFのHPより


条文を見てみよう

第75条(運用の目的)
積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら国民年金の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたつて国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。


選択式対策で要注意ですね。厚生労働白書(令和5年度版)も見てみましょう。

令和5年度版 厚生労働白書261P

年金積立金の管理・運用
年金積立金の運用は、「積立金が、被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、もっぱら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行う」ことが法律で定められている。2019(令和元)年財政検証で設定された複数の経済前提をもとに、各ケースに対応できる長期の実質的な運用利回り(名目運用利回り-名目賃金上昇率)1.7%を運用目標とし、厚生労働大臣が定めた年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)の中期目標において、「長期的に年金積立金の実質的な運用利回り1.7%を最低限のリスクで確保すること」とされている。これを受けて、GPIFにおいて、リターン・リスク等の特性が異なる複数の資産への分散投資を基本として、長期的な観点からの資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定め、市場に与える影響に留意しつつ、年金積立金の管理・運用を行っている。

年金積立金の運用は、1.7%を運用目標としていますが、年金積立金全体の実質的な運用利回りは、2001年度以降の21年間の平均で3.86%となり、運用目標(実質的な運用利回り+1.7%)を上回っています。

令和5年版 厚生労働白書より

寄託と預託

第76条(積立金の運用)
積立金の運用は、厚生労働大臣が、前条の目的に沿つた運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を寄託することにより行うものとする。

 厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、同項の規定に基づく寄託をするまでの間、財政融資資金に積立金を預託することができる。

納付金の納付を目的として、積立金を年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対し寄託するんですね。寄託とは、「物を保管することを約束し、その物を受け取ることによって効力を生じる契約」の事です。

寄託をするまでの間、財政融資資金に積立金を預託することができます。預託とは、「金銭または物品を一時的に預けること」の事です。預託されている資金には一定の利子が支払われます。

第77条(運用職員の責務)
積立金の運用に係る行政事務に従事する厚生労働省の職員(政令で定める者に限る。以下「運用職員」という。)は、積立金の運用の目的に沿つて、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。

第78条(秘密保持義務)
運用職員は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

第79条(懲戒処分)
運用職員が前条の規定に違反したと認めるときは、厚生労働大臣は、その職員に対し国家公務員法に基づく懲戒処分をしなければならない。

全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。とか特徴的ですよね。



なぜ年金積立金の運用は必要なの?

この質問に対して、厚生労働省は次のように解答しています。

公的年金は、現役世代から高齢者世代へ仕送りするという「世代間扶養」が基本です。しかし、この仕組みでは、急激な少子高齢化が進むと、支え手の減少から保険料収入が減り、高齢者の増加から給付が増えることになります。そこで、最終的な保険料水準を決めて、その負担の範囲内で給付を行うことを基本に、社会経済情勢の変動に応じて、給付水準が自動的に調整される仕組みが導入されています。 年金積立金は、この仕組みの中で将来も一定の給付を確保するために、あらかじめ保険料の一部を給付に充てずに積み立てたものであり、年金給付に必要な収入の大部分は、保険料収入や税金によりまかなわれていますが、この年金積立金を運用して得られた収入も活用しつつ、安定的な年金給付を行っています。なお、年金制度は長期的な制度であり、単年度の年金積立金の実績と将来見通しとの乖離状況をもって長期的な年金財政に直ちに影響を及ぼすものではありませんが、毎年度、この乖離がどの程度であるか等について比較検証しています。 ※厚生労働省HPより

厚生年金保険法にも積立金がある?

全体像をこの図で把握して、厚生年金保険法の積立金の運用でもう一回勉強しましょう。管理運用主体が重要ワードです。

それでは過去問いきましょう

問1. 積立金の運用は、厚生労働大臣が、国民年金事業の運営の安定に資する目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を預託することにより行う。

過去問 平成18年 国民年金法

←正解はこちら
問1. ✕ 年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を寄託することによりが正しいです。なお、寄託をするまでの間、財政融資資金に積立金を預託することができます。

問2. 積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら国民年金の( A )のために、( B )から、( C )に行うことにより、将来にわたって、国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。
 積立金の運用は、厚生労働大臣が、国民年金法第75条の目的に沿った運用に基づく( D )を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を寄託することにより行うものとする。なお、厚生労働大臣は、その寄託をするまでの間、( E )に積立金を預託することができる。

①安全性重視の観点②公正かつ慎重③堅実④将来的な見通し
⑤信託会社⑥被保険者の利益⑦財源確保⑧財政融資資金
⑨忠実⑩安全かつ効率的⑪国民年金制度の維持⑫自主運用の仕組み
⑬長期的な観点⑭年金財政の安定⑮運用収益の獲得⑯民間金融機関
⑰納付金の納付⑱投資顧問業者⑲保険料の上昇抑止⑳年金財政基盤強化

過去問 平成20年 選択式 国民年金法

←正解はこちら
問2.積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら国民年金の(被保険者の利益)のために、(長期的な観点)から、(安全かつ効率的)に行うことにより、将来にわたって、国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。
 積立金の運用は、厚生労働大臣が、国民年金法第75条の目的に沿った運用に基づく(納付金の納付)を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を寄託することにより行うものとする。なお、厚生労働大臣は、その寄託をするまでの間、(財政融資資金)に積立金を預託することができる。


選択式対策、白書対策としても積立金の運用の条文は大切です。また積立金の運用の流れを把握し管理や責務等を勉強しておきましょう。厚生年金保険法の実施機関積立金との結びつきも大切です。

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