過去問対策(定時決定される標準報酬月額)
給与計算実務能力検定試験には過去問集が市販されていませんので、計算問題対策がしづらいですよね。ここでは計算問題の「定時決定」される標準報酬月額について解き方を解説していきます。短時間就労者については、支払基礎日数に注意が必要です。
資料は試験当日に配布される
以下の一定の資料が問題用紙と共に配布されます。
・健康保険・厚生年金保険の保険料額表
・給与所得の源泉徴収額表(月額表)
・賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表
・雇用保険料率表
・退職所得控除額の計算の表
・生命保険料の控除額の計算式
・地震保険料の控除額の計算式
・配偶者控除等の種類と控除額
・年末調整等のための速算表等・・・・
資料をもとに、問題を解いていきます。
定時決定される標準報酬月額
以下の条件で定時決定される標準報酬月額を求めよ
- 賃金締め日:毎月末日
- 賃金支払日:翌月25日
- 支給内容
時 給 :1,100円/パート(短時間就労者)
通勤手当:7,300円(1か月分・公共交通機関)
<資料>
定時決定とは?
社会保険料や年金額の基礎となる標準報酬酬月額を決定することを定時決定といい、毎年4月から6月に支払われた給与の平均額等を記入した算定基礎届を日本年金機構に提出します。決定された標準報酬酬月額は、当年9月から翌年8月までの各月に適用されます。この標準報酬月額に基づいて、保険料が適用されます。
この標準報酬月額は、年1回定時に行われる「定時決定」のほか、入社時の「資格取得時決定」、報酬額等に著しい変動があったときの「随時改定」等で決定されます。
定時決定の方法(原則)
4月+5月+6月の報酬の総額÷その期間の月数で計算した額が報酬月額となります。定時決定には一定のルールがあり、「支払基礎日数」が17日未満の月がある場合には、その月を除いて算出します。
支払基礎日数が17日未満の月がある場合には、その月を除く!
支払基礎日数は月給制の場合、通常「各月の暦日の日数」を記入しますが欠勤等があったときは、就業規則等で規定されている勤務日数から欠勤日数を控除した日数を記入します。そして17日未満の月があれば、その月を除いて算出します。
短時間就労者の定時決定は?
原則は、「支払基礎日数」が17日未満の月がある場合には、その月を除いて算出しますが、短時間就労者(4分の3基準を満たす短時間労働者)の定時決定は、支払基礎日数が15日以上の月も対象に含めるなど、算定方法に違いがあります。
①3か月のうち報酬支払基礎日数が17日以上の月が1か月以上ある
→17日以上の該当月の報酬総額の平均値
②3か月のうち報酬支払基礎日数がいずれも17日未満
a.15日以上17日未満の月が1か月以上ある
→15日以上の該当月の報酬総額の平均値
b.3か月とも15日未満
→従前の標準報酬月額で決定
では、問題を解いていきます。
今回の事例は②のaにあたる15日以上17日未満の月があるので5月と6月の平均値で計算します。
5月 | 99,000円+7,300円 | 106,300円 |
6月 | 105,600円+7,300円 | 112,900円 |
合計して平均値を出します。
(106,300+112,900)÷2=109,600円
保険料額表にあてはめて標準報酬月額を出します。
109,600円は107,000~114,000の範囲に入りますから標準報酬月額は
健康保険標準報酬月額:110,000円
厚生年金標準報酬月額:110,000円
が解答になります。
定時決定は7月1日現在に在籍している被保険者について行われ、決定した標準報酬月額は当年9月~翌年8月まで適用されます。健康保険・介護保険・厚生年金の保険料は標準報酬月額をもとに算出されます。
ただし6月1日以降に資格取得した人や7月・8月・9月に随時改定等が予定されている人は除きます。(定時決定は4,5,6月の平均なのでより最近の標準報酬になるのが理由)
定時決定のポイント
報酬支払基礎日数は17日未満の月は除いて平均を計算する
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