【国民年金法】保険料納付済期間

保険料納付済期間とは?

老齢基礎年金の計算をするうえで重要になる保険料納付要件ですが「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」があります。ここでは用語の定義を学んでいきます。

条文を見てみよう

第5条1項(用語の定義)
 この法律において、「保険料納付済期間」とは、第1号被保険者としての被保険者期間のうち納付された保険料督促及び滞納処分の規定により徴収された保険料を含み申請部分免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く)に係るもの及び産前産後期間の保険料免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの、第2号被保険者としての被保険者期間並びに第3号被保険者としての被保険者期間を合算した期間をいう。

保険料納付済期間とは

  1. 第1号被保険者任意加入含む)としての被保険者期間のうち保険料を納付した期間
  2. 第1号被保険者としての被保険者期間のうち督促及び滞納処分保険料が徴収された期間
  3. 第1号被保険者としての被保険者期間のうち産前産後期間の保険料免除納付を要しないとされた期間
  4. 第2号被保険者としての被保険者期間並びに第3号被保険者としての被保険者期間

これらの期間を合算した期間をいいます。

条文青文字の「申請部分免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く」と除かれていますが、申請部分免除は、保険料の4分の3免除、半額免除、4分の1免除が該当します。4分の3免除の例でいうと、納付を要しないとされた保険料は4分の3で、残余の額(4分の1)を納付しないといけません。でないと未納つまり滞納です。この残余の額納付又は徴収された期間は「保険料一部免除期間」といいます。

保険料の免除や猶予を受けたものは、追納と言って10年以内であれば、後から保険料を納付することができます。追納が行われたときは、追納が行われた日に、追納に係る月の保険料が納付されたものとみなされますので保険料納付済期間とされます。

産前産後期間の保険料免除納付を要しないとされた期間は、保険料を納付していませんが、納付したものとして扱われますので保険料納付済期間になります。保険料免除期間ではありませんので注意です。

第2号被保険者第3号被保険者は、国民年金の保険料は納付義務がありませんので原則、全期間保険料納付済期間となります。原則なので例外もあります。後で説明します。

第1号被保険者期間保険料を全額納付した期間
産前産後の免除期間
第2号被保険者期間
第3号被保険者期間
原則その全期間
保険料納付済期間

老齢基礎年金が満額支給されるには?

老齢基礎年金は「フルペンション減額方式」で計算されます。フルペンション減額方式とは、20歳から60歳まで40年間(480月)全て納付したと仮定した満額(フルペンション)から実際に収めた保険料に対して減額する方式のことです。

780,900円✕改定率✕(算定月数/480)

算定月数には、40年間の保険料納付済期間保険料免除期間を、それぞれ算定した月数を全て合算した数字が入ります。納付済期間の月数は1と計算しますので、40年間(480月)全てを保険料納付済期間で埋めたら480/480で1となり、満額の「780,900円✕改定率」が支給されることになります。なお、保険料免除期間を含んでいると、その期間の月数は8分の73分の1で計算しますので減っていきます。フルペンション減額方式の所以ですね。老齢基礎年金の年金額は、別記事で上げますので、ここでは何となく理解できたらいいです。

第2号被保険者と旧法時代の被保険者

話を保険料納付済期間に戻します。厚生年金保険の被保険者(国民年金の第2号被保険者)であった期間は原則、全て保険料納付済期間になると説明しました。老齢基礎年金の年金額の計算をするうえでの保険料納付済期間には算入しない期間があります。第1号被保険者第3号被保険者は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のものでした。480月ですね。第2号被保険者は、原則年齢制限が無く、65歳に達し、老齢の受給権が発生した日に喪失します。480月を超えてしまいますよね。なので、老齢基礎年金の年金額の計算をするうえでの保険料納付済期間には算入されない期間があるんです。

条文を見てみよう

S60法附則第8条4項(国民年金の被保険者期間等の特例)

当分の間、第2号被保険者としての国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間を有する者の20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間に係る当該保険料納付済期間は、保険料納付済期間に算入せず合算対象期間に算入する。

第2号被保険者の老齢基礎年金の支給要件としての保険料納付済期間20歳前の期間と60歳以後の期間は除かれて合算対象期間に算入されます。年金額の計算に反映されません。

※合算対象期間=受給資格要件の10年間には算入するが年金額には反映されない期間

なお、障害基礎年金遺族基礎年金の適用に関しては保険料納付済期間に算入されます。

新法施行前は?

昭和36年4月1日~昭和61年3月31日を旧法、昭和61年4月1日以後を新法と言います。旧法時代の厚生年金は、独立した制度で運営されていまし、公務員等が加入する共済年金も独立していました。昭和61年4月1日に新法が施行基礎年金が導入され、すべての人が国民年金に加入することになったんです。第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の区分が出来たのも、この時です。

旧法時代に厚生年金保険の被保険者であった期間の保険料納付済期間は?第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の区分が無い時代ですので、別で定義されています。

昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの厚生年金保険(共済組合の組合員及び船員保険であった期間を含む)の被保険者期間のうち20歳以上60歳未満の期間が保険料納付済期間となります。

なお、旧法時代の国民年金の被保険者(任意加入被保険者期間を含む)であった期間のうち、保険料の全額を納付した期間は保険料納付済期間です。

それでは過去問いきましょう

問1. 60歳から64歳まで任意加入被保険者として保険料を納付していた期間は、老齢基礎年金の年金額を算定する際に保険料納付済期間として反映されるが、60歳から64歳まで第1号厚生年金被保険者であった期間は、老齢基礎年金の年金額を算定する際に保険料納付済期間として反映されない。

過去問 平成30年 国民年金法

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問1. 〇 任意加入して保険料を納付した期間は保険料納付済期間としてあつかわれます。第1号厚生年金被保険者とは民間の会社員のことで国民年金第2号被保険者ですね。第2号被保険者としての国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間を有する者の20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間に係る当該保険料納付済期間は、保険料納付済期間に算入せず、合算対象期間に算入しますので老齢基礎年金の年金額を算定する際に保険料納付済期間として反映されません。

問2. 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間の厚生年金保険の被保険者期間は、老齢基礎年金の受給資格期間に関して、そのすべての期間が国民年金の保険料納付済期間とみなされる。

過去問 平成25年 国民年金法

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問2. ✕ 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの厚生年金保険(共済組合の組合員及び船員保険であった期間を含む)の被保険者期間のうち20歳以上60歳未満の期間が保険料納付済期間となるので、すべての期間が国民年金の保険料納付済期間に算入されません。

問3. 保険料全額免除を受けた期間のうち保険料を追納した期間は、保険料納付済期間とされる。

過去問 平成24年 国民年金法

←正解はこちら
問3. 〇 追納が行われたときは、追納が行われた日に、追納に係る月の保険料が納付されたものとみなされますので保険料納付済期間とされます。

問4. 保険料納付済期間には、保険料の一部免除の規定により、その一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につき、その残余の額が納付又は徴収されたものは含まない。

過去問 平成24年 国民年金法

←正解はこちら
問4. 〇 第1号被保険者としての被保険者期間のうち納付された保険料に係るものは保険料納付済期間とされますが、「申請部分免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く」と除かれています。4分の3免除の例でいうと、納付を要しないとされた保険料は4分の3で、残余の額(4分の1)を納付しないといけません。でないと未納つまり滞納です。この残余の額が納付又は徴収された期間は「保険料一部免除期間」といいます。

問5. 第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間は、老齢基礎年金の年金額の計算に関しては保険料納付済期間に算入され、合算対象期間に算入されない。

過去問 令和5年 国民年金法

←正解はこちら
問5. ✕ 第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間は、老齢基礎年金の年金額の計算に関しては合算対象期間とされ年金額の計算には反映されません。

保険料納付済期間は、年金の額に直結しますので重要な論点とおもわれます。第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険の特徴と免除との関係を理解しましょう。産前産後期間の保険料免除保険料免除期間ではなく、保険料納付済期間となりますので注意です。

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