【国年年金法】国庫負担

国民年金法における国庫負担

国民年金法には基礎年金の給付に関する費用事務費について国庫が負担しています。事務費については「国庫は、毎年度予算の範囲内で、国民年金事業の事務の執行に関する費用を負担する」と規定されており、市町村の事業費に関しては「政府市町村に対し、市町村長が行う事務の処理に必要な費用を交付する」とされています。ここでは、給付に関する費用について学んでいきます。

給付費の負担

老齢基礎年金の給付には平成21年3月までは3分の1平成21年4月からは2分の1が国庫で補われています。これはあくまで原則であり、保険料を免除されている人の国庫負担の割合は変わってきます。原則の保険料の全てを納付済の人を見てみます。保険料の免除の記事はこちら↓


原則の国庫負担

保険料を全額納付している人の給付に関して半分は国庫が負担している関係になります。

では、4分の1免除や半額免除、4分の3免除、全額免除の期間を有する人の国庫負担割合はどうなるでしょうか?こうなります。

給付に要する費用の種類国庫負担割合
原則2分の1
4分の1免除期間7分の4
半額免除期間3分の2
4分の3免除期間5分の4
全額免除期間全額
※全額免除期間の学生納付特例と猶予制度は除く

この数字覚えるの?って感じですが試験に問われているんですよ💦とても無理なので8個の箱理論で理解しておきましょう。そうすれば暗記不要です。4分の1免除期間で説明します。箱を8個作り、国庫負担は2分の1ですから半分を埋めてしまいます。

4分の1免除期間を有する人の国庫負担割合

4分の1免除の人の保険料の部分は4分の3を納めていますのでこうなります。

4分の1免除期間に対しての国庫負担割合は7分の4となりました。以下同様の考え方で表にするとこうなります。

国民年金法の国庫負担割合

国庫負担が入るので、免除期間を持っていたとしても、それ以上に年金額に反映されますね。全額免除で、保険料を支払っていなくても全額納めた人に対して2分の1(全額国庫)は反映されます。注意点は「学生納付特例」や「納付猶予制度」には追納しない限り、国庫負担が入りませんので、年金額には反映されないということです。

国庫負担の割合は?と、問われたら保険料と国庫負担をあわせた部分に対する国庫負担の割合
4分の1免除と言うことは、残りの4分の3の保険料を納めていることになる
基本年金額の計算に使用する月数とゴッチャにしない(この後説明します)


老齢基礎年金の額の計算

老齢基礎年金は「フルペンション減額方式」で計算されます。フルペンション減額方式とは、20歳から60歳まで40年間(480月)全て納付した満額(フルペンション)から実際に収めた保険料に対して減額する方式のことです。

780,900円✕改定率✕(算定月数/480)

なので480月すべて保険料を納めたら780,900円✕改定率✕(480/480)で780,900円✕改定率✕1となり、満額支給されます。

40年は長いです。この期間の中には、保険料の免除した方もいるでしょう。上記式の算定月数は、次の1~5の期間の月数を合算した月数になります。平成21年3月までと平成21年4月以後で違います。

平成21年4月以後の期間

  1. 保険料納付済期間の月数
  2. 保険料4分の1免除期間の月数の8分の7に相当する月数
  3. 保険料半額免除期間の月数の4分の3に相当する月数
  4. 保険料4分の3免除期間の月数の8分の5に相当する月数
  5. 保険料全額免除期間の2分の1に相当する月数

平成21年3月までの期間

  1. 保険料納付済期間の月数
  2. 保険料4分の1免除期間の月数の6分の5に相当する月数
  3. 保険料半額免除期間の月数の3分の2に相当する月数
  4. 保険料4分の3免除期間の月数の2分の1に相当する月数
  5. 保険料全額免除期間の3分の1に相当する月数

※480月を超える部分には国庫負担は入らない為、複雑化しますので省略しています

なんですか?この数字💦 覚えられるわけがありません。平成21年3月までは、国庫負担が3分の1入り、平成21年4月からは、国庫負担が2分の1入ります。なので2通りの計算方法があるんですね。

少しづつ理解しましょう。まずは、平成21年4月以後の国庫が2分の1負担する期間で納付済の期間

保険料納付済期間ですから、箱8個が全てうまり8分の8となり1となります。

では、保険料4分の1免除期間は、どうなるでしょうか?

保険料4分の1免除は、保険料を4分の3納めていますので、満額の箱8個のうち、7個が計算の基礎となり8分の7となります。以下同様の考え方で表にするとこうなります。

国民年金法の国庫負担

ゆっくりでいいので、何度も見て理解する事が大事です。平成21年4月以後は国庫が2分の1入りますので、平成21年4月以後の40年(480月)全て全額免除だった人の算定月数は、480✕2分の1
780,900円✕改定率✕(算定月数/480)にあてはめると
780,900円✕改定率✕(240/480)で満額の半分の基礎年金が支給されます。

平成21年3月以前の国庫が3分の1負担していた期間は、箱6個で考えます。

保険料納付済期間ですから、箱6個が全てうまり6分の6となり1となります。

では、保険料4分の1免除期間は、どうなるでしょうか?

保険料4分の1免除は、保険料を4分の3納めていますので、満額の箱6個のうち、5個が計算の基礎となり6分の5となります。以下同様の考え方で表にするとこうなります。

平成21年3月以前の国庫負担

初学の勉強1年目で、最初にくじける年金の国庫負担です。計算の基礎となる重要な所なので、理解するまで何度も見返しましょう。

780,900円✕改定率✕(算定月数/480)の算定月数には、これらの期間をすべて合算した月数がはいります。

国庫負担が入るので、免除期間を持っていたとしても、それ以上に年金額に反映されますね。全額免除で、保険料を支払っていなくても全額納めた人に対して平成21年4月以後の期間は2分の1(全額国庫)、平成21年3月以前の期間は3分の1が反映されます。注意点は「学生納付特例」や「納付猶予制度」には追納しない限り、国庫負担が入りませんので、年金額には反映されないということです。

国庫負担の割合は?と、問われたら保険料と国庫負担をあわせた部分に対する国庫負担の割合だが、給付される、基本年金額の計算に使用する月数とは違いますので区別して理解しましょう。


それでは、過去問いきましょう

問1. 保険料の全額免除期間については、保険料の全額免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料をその後追納しなくても老齢基礎年金の年金額に反映されるが、それは免除期間に係る老齢基礎年金の給付に要する費用について国庫が負担しているからであり、更に、平成15年4月1日以降、国庫負担割合が3分の1から2分の1へ引き上げられたことから年金額の反映割合も免除の種類に応じて異なっている。

過去問 令和5年 国民年金法

←正解はこちら
問1. ✕ 設問の内容が理解できていたら、勉強が進んだ証拠です。この問題の論点は数字の引っ掛けで「平成15年4月1日以降」を「平成21年4月1日以降」に変えれば、正しい内容となります。では、平成15年4月1日以降とはなんなんでしょう?厚生年金保険法のテキストを見てみて下さい。総報酬制と言って賞与からも保険料が徴収されるようになったのが平成15年4月からなんです。それまでは賞与から保険料は徴収されていなかったなんてビックリですよね。厚生年金の年金の計算においては平成15年4月は重要な日です。

問2. 保険料4分の1免除期間に係る老齢基礎年金の給付に要する費用については、480から保険料納付済期間の月数を控除して得た月数を限度として、その7分の4を国庫が負担することとなる。

過去問 平成26年 国民年金法

←正解はこちら
問2. 〇 設問は、給付に要する費用について国庫の負担割合を聞いています。平成21年4月以降は原則2分の1を国庫が負担しますので、4分の1免除ということは4分の3を納めています。つまりは箱8個で満額の所、国庫で4個が埋まり、保険料は3個埋まります。計7個給付される国庫の割合は7分の4となり正しいです。なお、年金額の月数の計算においては、平成21年3月以前の期間であれば6分の5で、平成21年4月以後の期間であれば8分の7で計算します。

その他の国庫負担

  • 付加年金の給付に要する費用については、その4分の1を国庫が負担
  • 死亡一時金の加算額8,500円(付加年金を3年以上納付)の給付に要する費用については、その4分の1を国庫が負担(死亡一時金そのものには国庫負担なし)
  • 20歳前傷病により障害基礎年金の給付に要する費用については、その10分の6を国庫が負担(100分の20が特別国庫、残りの100分の80の1/2である100分の40に国庫の負担が行われるので計100分の60=10分の6が国庫負担)

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