過去問対策(随時改定される標準報酬月額)
給与計算実務能力検定試験には過去問集が市販されていませんので、計算問題対策がしづらいですよね。ここでは計算問題の「随時改定」される標準報酬月額について解き方を解説していきます。
資料は試験当日に配布される
以下の一定の資料が問題用紙と共に配布されます。
・健康保険・厚生年金保険の保険料額表
・給与所得の源泉徴収額表(月額表)
・賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表
・雇用保険料率表
・退職所得控除額の計算の表
・生命保険料の控除額の計算式
・地震保険料の控除額の計算式
・配偶者控除等の種類と控除額
・年末調整等のための速算表等・・・・
資料をもとに、問題を解いていきます。
随時改定される標準報酬月額
以下の条件で随時改定される標準報酬月額を求めよ
- 賃金締め日:毎月末日
- 賃金支払日:当月20日
- 従前の標準報酬月額:300,000円
- 支給内容 基本給 280,000 円(月給)から、
4 月に 310,000 円に昇給した
6月に4月、5月分の昇給差額が遡って支給された
住宅手当 20,000 円
通勤手当 なし - 支払状況は下表のとおり
<資料>
随時改定とは?
標準報酬月額は、原則として次の定時決定まで変更しませんが、昇給等により報酬の額が著しく変動する場合があります。そこで実態にあわせる為に、変動があった月以降の継続した3か月間の報酬をもとに、4か月めから標準報酬月額を改定します。この改定を「随時改定」といいます。
随時改定の要件
3つの要件すべてに該当したときは、随時改定の対象になります。
- 昇給または降給等により固定的賃金または、給与体系の変動があった
- 標準報酬月額に2等級以上の差が生じた
- 変動月以降の継続した賃金支払基礎日数が3か月とも17日以上
継続した3か月のうち、賃金支払基礎日数が、ひと月でも17日未満の月があると随時改定はおこなわれない。昇給等で固定的賃金に変動があれば随時改定の対象となるが、その場合は「残業手当」も含めて、平均報酬月額を計算する。
随時改定される標準報酬月額を求める
さかのぼり昇給があった場合の変動月は、昇給があった4月では無く、昇給差額が支給された6月になります。よって6月から継続した3か月間(6月、7月、8月)の平均を求めます。3か月間すべての賃金支払い基礎日数も17日以上ありますね。
6月に支給された「昇給差額」60,000円は、4月・5月分なので計算の基礎には算入しない
さかのぼり昇給ですので、4月に昇給しています。で、4月・5月分の「昇給差額」60,000円が6月に支給されていますが、3か月間の平均を算出する際には、当該「昇給差額」は算入しません。
6月 | 310,000円+20,000円+24,330円 | 354,330円 |
7月 | 310,000円+20,000円+9,744円 | 339,744円 |
8月 | 310,000円+20,000円+10,200円 | 340,200円 |
では、平均を出します。
(354,330円+339,744円+340,200円)÷3=344,758円
標準報酬月額はいくらか見ていきましょう。従前の標準報酬月額は300,000円でしたよね。
344,758円は、報酬月額「330,000~350,000」の範囲内ですので、標準報酬月額340,000円で従前の等級より2等級差がついています。よって随時改定は行われ
健康保険標準報酬月額:340,000円
厚生年金標準報酬月額:340,000円
が解答になります。
さかのぼり昇給のポイントは、昇給差額が支給された月が固定的賃金の変動月となり、変動月以後3か月で随時改定に該当するかチェックします。そして昇給差額支給分を差し引いて、報酬月額を算定することになります。
事業主は、すみやかに「被保険者報酬月額変更届」により、変動月以後の3か月の報酬月額を届けしなければいけません。「月変すみやか」です。
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